アブノーマル村上
タイトルから村上龍を想像する人は少なそうだが、何を隠そうぼくは村上龍の大ファンなのである。
小説を読むのは好きで、ちょいちょい他の人の本も読んではいたのだが、どうしても村上龍以外の本にハマれなかったのだ。
それは村上龍の小説がぼくにドンピシャだったのが大きいが、こんなアブノーマルな世界観を本にしてる人が世の中にいるのか、というのが読み始めたときの印象だ。
初めて読んだ本がどの作品だったかは覚えていないが、「限りなく透明に近いブルー」か「コックサッカー・ブルース」だったと思う。
どっちもかなりバイオレンスだが、とてつもなく面白い小説で、ぼくの過去の経験の読みたくもない小説を夏休みの宿題で読まされているという小説に対するバッドイメージが払拭されたのだ。
むしろ村上龍の小説に出会えていなければ、他の小説なんか見向きもしなかったのではないかと、小学生時代の苦行を少し恨んだりもした。
そうこうして、20代前半に村上龍の小説を読み始めて、今に至るのだが、もう読んでないのはないだろうと思っているといつの間にか新作を出してたりしてるので気が抜けない。
彼なりの定石をきっちり散りばめた新作を出してくるので、世間ではそこまで騒がれていないが、ぼくからしたら最高なのである。
「5分後の世界」は10回ぐらい読んだが、普段あんなにアブノーマルな本を書いているのに、いきなり SF 作品を出してきたりしてどうしてこれほどのストーリーが頭の中にあるのかとなんだか疑いたくなるほどだ。
この本は、冒頭に目がうっすら冷めた主人公が、ある行軍に混ざって歩いているシーンから始まる。
舞台はどうやらかなり前の日本のようだが、なぜ自分がここにいるのかよくわからない。
その世界では純粋な日本人は地下に潜っていて、かなり人数が少ない。
アンダーグラウンドと呼ばれている彼らは、尋常じゃない身体能力を持っていて、世界中が彼らにあこがれている。
のようなぶっ飛んだ世界を冒頭からぶっこんでくる。
かなりヒットした今作は、2もあって、「ヒュウガウィルス」というタイトルになっている。
その後の世界が描かれていて、主人公は1と変わって女性の兵士だ。
一番好きな村上龍の小説はどれですか?と聞かれるときがあるが、ひじょうに難しい。
「希望の国のエクソダス」は30回ぐらい読んだし、「愛と幻想のファシズム」は興奮しすぎて上下巻の大作なのだが、確か2日で読みきった記憶がある。
似たところだと「半島を出よ」がかなりヒットしたが、村上龍の面白いところが、その時代にあった影響の合った題材を使ってくる点だ。
なので話題があった題材が使われるから単語が頭に入ってきやすいのだ。
余談だが、あまりにも村上龍が好きすぎてブログの記事を書いていたら、雑誌から村上龍特集するから1つの作品のレコメンドコメントを書いてほしいと依頼があったぐらいだ。
実際に書いて、献本してもらったのは本当に嬉しかった。
そんな村上龍だが、一点問題があるとしたら、電子書籍がないのは残念なところだ。
物理本しかないので、今人におすすめしてもなかなか買ってもらえないのがある。
ぼくはすべて物理本で持っているのでなんの問題もないのだが、たまに1つのデバイスに村上龍の全部の小説を入れたい欲はあるが、大雨の日にバッグに入れておいて、ずぶ濡れで返ってきて、カピッカピになった「希望の国のエクソダス」は未だにその状態からアップデートしていない。
この状態でいいのだ。
これでいいのだ。