風の谷のナウシカ
ぼくの小学校、中学校のときの友達にタカオくんという男の子がいた。
彼は床屋さんの息子で、ゲームが大好きでプロレスも好きだった。
そんな彼の家兼床屋さんはぼくは利用させてもらってて、自分のお母さんからお金をもらってタカオくんちのお母さんに髪を切ってもらうというのがぼくの小学校と中学校時代の髪を切るイベントだった。
学校の規制された髪型なので楽しさはあんまりないのだが、友達のお母さんに切ってもらっているということが少し誇らしげだった。
いつも髪を切ったあとは、子供はお土産でガムがもらえるのでそのガムを持って、奥のタカオくんがいるキッチンへ。
今日もタカオくんは居間のテレビで 風の谷のナウシカ
を観ている。
金曜ロードショーでやったのを録画して、それを何度も観ているんだようだ。
ぼくも何も考えずに椅子に座り、風の谷のナウシカを最後まで観ている。
全部観終わったぐらいがだいたい夕飯の時間なので、そこいらでぼくは家に帰るのだが、きっとタカオくんはぼくが帰ったあとも風の谷のナウシカを観ているんだろうな。
村上龍の コックサッカーブルース
という小説が好きで、ボロボロになるまで何度も読んだ。
そんな小説の中のワンシーンで、離婚した家族でお父さんと娘が月イチで会えるので、その日は一緒に風の谷のナウシカを観ながら アンチョビのピザ
を食べるというシーンがある。
食い入るように娘は風の谷のナウシカを見ていて、アンチョビのピザもあっという間に食べ終えてしまう。
そのタイミングで、テレビではオームが怒り狂っている。
この風の谷のナウシカを観ながらアンチョビのピザを食べるというシーンがすごく好きだ。
ぼくは風の谷のナウシカを観ているタカオくんが好きだった。
アンチョビのピザを食べながら風の谷のナウシカを観て楽しんでいるコックサッカーブルースの娘も好きだ。
風の谷のナウシカのエピソードはその後増えていないが、なんだかこうゆう面白いリンクがたまにある。
だから、まえに子供が小さいときにトイ・ストーリーを一緒に観たりしたのだが、あーゆう時間というのは至福だったし、他人のトイ・ストーリーの話を聞くのもいやじゃない。
こうゆうのがポケットにエピソードを入れておくというニュアンスなのかなーと感じた。秋。
時間は深夜2時12分だ。
オームを鎮めるために、睡眠でもしてくるか。